7時半起床。日帰り講演の予定だったが、前夜10時にミッドナイトプランの空室があるとのことで、急遽、最終新幹線、最終在来線というつり橋を渡るようにして、講演会場のリバーサイドホテルに午前0時半に到着していた。昨夜は禁酒日だったから、二日酔いでもないのに頭の中では、東京で拝命した意見書の構想が渦巻いていたからでもあった。
最上階の10階のスカイレストランの朝食に向かう。今時、10階でスカイと名乗る程ではないが、確かに2面に亘る展望は綺麗だ。新緑が目に眩しいほどである。
このホテルは筑後年数が相当経っている。堅牢で手入れは行き届いてはいるが、寄る年並みには勝てないとは、まさにこれで、加齢による設備の陳腐化は避けられない。また、設備自体が前世代型なので、個室空調もできない全館統一空調だったり、便座はウオシュレットでもなく、冷たいままだし、TVも小さくて分厚い。ただ、壁だけはしっかりしていて、下手な新興ホテルの安普請より遮音性は高く、くしゃみをすると、泣き龍のように響きさえする。
当時は概念すらなかった禁煙室は当然無いから、昨夜チェックインした時には、思わず鼻が反応した。だからという“対策”なのであろう・・・部屋の隅に墨が2切れバスケットに入れておいてあったのは、少し嬉しいではないか!少なくともホテル側でも無頓着ではなく出来るだけのことをしていてくれているというのは、救いである。
ミッドナイトプランで半額ということと、講演会場ということで泊まるものの、正規の値段では割高感が残るだろう。朝食のバイキングは1000円とお値打ちで、味もまあまあだが・・・・サラダドレッシングが洋物1種しかないので、駄目元で和風はないの?と聞けば用意してくれた。「おお!」プレーンヨーグルトがないのも寂しい。しかし駄目元でとは呟かなかった。
一番驚いたのはBGMで、ボリュームは大きくないのに、音が割れている。ビビッている。いつも聞いていて何とも思わないスタッフにも驚く。余程、言おうかと思ったが止めた。
トーストは?食パンがないというのも驚きだ。やむなくフランスパンとしたが、まあ結局は値段相応というところだろう。まったく注文の煩い客だ。
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部屋に戻って朝ドラ見て、窓から見える目に優しい新緑が一番のご馳走で、これに心を休めながらブログを書いて、9時から原稿に向かう。講演内容は、何度も繰り返して話しているのでまったく心配がないので、意見書などの他の原稿である。
そうこうしていると青税の元会長からの質問があって、読み込むも、株主関係が錯綜して判らないので、折り返し質問をして、取り合えず、意見書原稿等に戻る。
ふと気が付いて講演のためのプロジェクター原稿に工夫をすることにした。これらは、“その時”の対応が一番旬で、直ぐに活かせられる。だから最優先で修正した。・・・すると・・・中々の傑作が出来た。このような、日々の創意工夫が楽しいのである。講演で、皆が驚くのが楽しみだ。
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11時のチェックアウト後、1階の喫茶に入って朝刊を読んで、原稿の続きに向かう。1時半からの講演なので、準備を含めて12時半に会場に入り、そこで原稿の続きを書く。
株主総会マターの急ぎの意見書については、これ以上は先方から詳しい資料待ちとすることにした。こに没頭する余り、改定原稿が数日放置されたので、また不安になってきた。
この不安というのは、放置すればするほど大きくなるものだから、ここらで一度、取り掛かっておかねばならない。この数日だけでも手も頭を離れたので、もう一度、書き上げたところを読み直す作業からはじめることをしなければならない。このバランスが仕事が増えるほどに難しい。
しかし、そうなったらなったで、先日も書いたように、客観的に読める立場になれる利点を災い転じて福となさねばならない。人生全てそれだ。
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ところで、1階の喫茶「ラ・ロアール」に入って15分。珈琲が出てこない。1時間以上粘る積りで入ったので幸いですらあるが・・・豆から煎っているのか?と善意に解釈していると・・・その15分経過した頃に、次の客が4人連れで入店し、同じく珈琲を注文すると、1分ほどで出てきた。
どうやら・・・豆を煎っていた訳ではなさそうだな・・・・「たばかりおったなぁ~!」と激怒せず、「済みません~~」と声を掛ける。穏やかに・・・・。その後のウエイトレスの対応は流石にホテルのそれであった。
半時ほど経つと、気の利いたウエイトレスが珈琲のお代わりを提案してくれたので、ご飯を極力少なめにした、ビーフカレーをセットに(すると珈琲が安くなる)して欲しいとオーダーした。
カレーは一口食べて、非常に美味であった。久しぶりである。『動的平衡』でやっと論理的に学べた、ドカ食いと、分割食いでは、前者の方が太る論理から、昼食は抜かずに少しはお腹に入れて置くことにしたのだ。
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原稿は、第三者的に読み直せると、いろいろ発見がある。そしてそれを修正すると、文章としてこなれたものとなり、読者に資することになる。従って、放置は決して放置ではなく、むしろ「熟成」と考えて悠々と時の魔法を待てばよいのである。
問題は、放置しているとの自責の念から、再び取り掛かることが、「慣性の法則」で辛くなる心理面での負い目を、「いや止まってしまった訳ではない。ギアーがトップ状態のまま、アクセルを踏まず、慣性走行を続けているのだ」と思う陽転思考が必要なのだと、目が開けた。
1年ほど前に笹岡先生の講演を聞いたのがこのホテルだった。しかし部屋は異なるのでセッティングを変更しなければならない。
1時半から5時までの講演は、無事終えた。質問も多かったが、気になったのは名刺交換がなかったことである。大阪人がしゃいとは思えないしなぁ~。
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新大阪まで戻る間に妻への夕食がいらない旨などの連絡メールと5時半だった。そこで6時の予約を13分早く変更し、お土産をキヨスクで買って、乗車する。メールをチェックすると、東京で拝命した意見書に関する、社長名の依頼書と、依頼内容が書かれていて、それがワードとPDFファイルの2種類で添付されている。賢明な方法であるし、わたしも使い易くありがたい。
ファイルが開くことを確認し、枚数を確認して、受領した旨の返信を送る。それから新幹線の中で、読みつつ検討をする。難問である。東京の某税理士法人の見解も書かれていた。
確かに、この文面だけからは、その見解とも言える。しかし相談を受けたときの全体構造からは、そうは断言できないと私は思う。だからこそ、コンプライアンスを遵守するこの会社は、私に意見を求めていらっしゃった訳だ。
岐路の間、疲れに体を休めつつ、頭はこの検討をぐるぐるしつつも、スケジュールを検討していた。GW明けには提出しなければならない。在来線では、珍しく座ったほど疲れていたのだろう。
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地元駅についてから、ヤマダ電機に向かい、DVDディスクを買う。高校の同窓会の録画をダビングするためである。本当に久しぶりに、近くの店に寄っていこうと思ったのは、講演が続いたのが一段落したからでもある。
南のローソンでは、汁物が食べたくなったので、カップ麺の198kcalのシーフードなどを買う。
8時半に帰宅して、郵便物整理をして妻と打ち合わせ、整理しつつワインを1杯だけ飲む。たったそれだけで凄く酔う。
丁度、東京講演した時の、後でインターネットで流されたDVDが届いていたので、お礼メールを書き、少しだけ自分の講演姿を確認する。恥ずかしいものだ。特に奥襟が遅れているのが気になった。
入浴して、整理がつづくが疲れてはかどらず、眠気が勝ってきた。2時半就寝する。